秋田銀線細工の新たな風「矢留彫金工房」

秋田銀線細工の新たな風「矢留彫金工房」

秋田市の無形文化財、秋田県の伝統的工芸品に指定されている秋田銀線細工。細い銀線を撚り合わせることにより柔らかな輝きを放つ繊細で優美なアクセサリーや置物などが作られています。 

秋田銀線細工のおこりには諸説ありますが、秋田藩では金や銀が産出されていたため、江戸時代の初期から、佐竹氏が常陸から連れて来た職人らによる刀装金具や甲冑などの金属工芸の文化が受け継がれてきたと言われています。 

特に銀が豊富に産出されていたことから、明治時代になり工芸の指導所が開設されると金銀細工・彫金・意匠などの専門家が集まり銀線細工が独自の進化を遂げ新たな技法とデザインが生まれました。

 秋田銀線細工は、0.20.3mmの細い純銀線を2~3本撚り合わせてから叩いて平らにし、ピンセットや指先で渦巻状に巻き、それを0.51mmの銀線で作った枠にはめ込みます。その後、銀ロウという合金を使用しガスバーナーで溶かしながら接着していき、一つのパーツを作ります。そのパーツをさらに銀ロウによって組み合わせ、複雑な模様を作り上げます。 

矢留彫金工房は、35年間老舗宝飾店で伝統的な手法による銀線細工の製作に当たっていた工房長の松橋さん、同じ老舗宝飾店で8年間修業を積んだ小林さん、それから長岡造形大学を卒業して故郷秋田に戻った高橋さんの女性3人で2019年に開設されました。世代の異なる3人が、三人三様の個性を生かして作品を製作しています。 

3人は常に話し合い、新たなデザインや工法を取り入れた作品を生み出しています。2022年には、和装に似合う銀線細工(髪飾り、帯留めなど)や高級時計の文字盤にも取り組みました。川連塗りや桜樺細工など秋田の工芸やひな人形メーカーとのコラボにも挑戦し、秋田銀線細工に新たな風を吹かせています。3人は銀線細工の可能性は無限に広がっており、常に新たなデザインや技法を模索し続けています。

松橋さんは、「この新たな風を後継者不足の解消にもつなげていきたい。今後は、楯やトロフィー・壺などの置物にも挑戦したい」、小林さんは、「ペン立てやメモトレーなど文具の制作も手掛けたい」と日常生活の中で銀線細工が使われるシーンを増やしていきたいと語ります。また、高橋さんは、「大学で学んだ七宝と組み合わせた新たなデザインに挑戦したい」と異なる素材や技術を取り入れることに意欲的です。個性あふれる皆さんのこれからの作品が楽しみです。

 また、矢留彫金工房では、金属工芸を基礎から学べる彫金教室が開催されています。工房オープン時から通われている方も多くおられ、4年経過した今では、生徒さんがデザインした作品をひとりで作り上げ友人にプレゼントしたりしているそうです。 

銀線細工は、一つひとつほぼすべての工程が手しごとのため、矢留彫金工房では、オーダーメイドの注文も受けています。細かなところまで自分でデザインしてもよし、イメージや用途をざっくりと伝えてデザインしてもらってもよし、あなただけの銀線細工を製作してもらうことができます。 

工房では多くの作品を展示・販売しています。秋田駅から千秋公園を通り過ぎ、旭川を渡ってすぐの所にあります。駅から約1Km、歩いて約15分です。秋田にお越しの際は是非お立ち寄りください。

矢留彫金工房アクセス https://yadome-silver.com/#s-access

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